【物理】音の「うなり」とは?仕組みと計算方法を引き算だけでわかりやすく解説

理科室の静かな放課後、ミライくんが二つの音叉を叩きながら、不思議そうな顔をして首をかしげています。

音が震えて聞こえる不思議な現象

ミライくん ミライくん
佐藤先生、さっきからこの二つの音叉を同時に鳴らしているんですけど、なんだか音が「ブォーン、ブォーン」って震えて聞こえるんです。壊れているわけじゃないですよね。
佐藤先生 佐藤先生
ミライくん、それは壊れているんじゃなくて、物理学で「うなり」と呼ばれるとても面白い現象が起きているんだよ。
ミライくん ミライくん
うなり、ですか。なんだかハチが飛んでいるみたいな、独特なリズムの聞こえ方ですね。
佐藤先生 佐藤先生
いい表現だね。その「ブォーン」という強弱のリズムこそがうなりの正体なんだ。実は、その二つの音叉、ほんの少しだけ音の高さが違っているんじゃないかな。
ミライくん ミライくん
えっ、同じに見えますけど。あ、本当だ。片方の音叉にだけ、小さなゴムバンドが巻き付いています。
佐藤先生 佐藤先生
それだね。ゴムバンドのせいで片方の震えるスピードが少しだけ遅くなっているんだ。音が震えるスピード、つまり1秒間に何回震えるかを「周波数(ヘルツ)」と言うんだけど、この周波数が「おっ、ちょっと違うぞ」という二つの音が混ざると、うなりが発生するんだよ。

波と波が重なり合う不思議

ミライくん ミライくん
周波数が違うと、どうして音が震えて聞こえるんですか。音そのものは真っ直ぐ聞こえてきそうなのに。
佐藤先生 佐藤先生
それを理解するには、音を「波」としてイメージするのが一番だよ。音の波には、山と谷がある。二つの音が同時に鳴ると、この波同士が重なり合うんだ。
ミライくん ミライくん
波が重なる……。プールで二つの波がぶつかるみたいな感じですか。
佐藤先生 佐藤先生
その通り。もし、二つの波の「山」と「山」がピッタリ重なったら、波はもっと大きくなるよね。これが、耳には「大きな音」として聞こえる。逆に、片方の「山」と、もう片方の「谷」がぶつかったら、打ち消し合って波は小さくなる。これが「小さな音」になるんだ。
ミライくん ミライくん
なるほど。山と山が合わさるとパワーアップして、山と谷だとパワーダウンするんですね。
佐藤先生 佐藤先生
そう。二つの音の周波数がほんの少しだけ違うと、最初は山と山が重なっていても、時間が経つにつれてだんだんとズレていくんだ。行進している二人の歩幅が少しだけ違うと、最初は足が揃っていても、だんだん右足と左足がバラバラになって、またしばらくすると揃うのと同じだね。
ミライくん ミライくん
あ、わかった気がします!その「足が揃ったとき」が大きな音で、「バラバラになったとき」が小さな音になって、それが交互にやってくるから「ブォーン、ブォーン」って聞こえるんですね。

1秒間に何回うなるかを計算してみよう

佐藤先生 佐藤先生
ミライくん、冴えてるね!じゃあ、どれくらいのリズムで「ブォーン」と鳴るのか、実は簡単な引き算で計算できるんだけど、やってみるかい。
ミライくん ミライくん
引き算ですか。僕でもできそうです。
佐藤先生 佐藤先生
例えば、片方の音叉が1秒間に440回震えている(440ヘルツ)とする。もう片方の音叉にゴムをつけて、1秒間に438回(438ヘルツ)に落としたとするね。この二つを同時に鳴らすと、1秒間に何回音が大きくなると思う。
ミライくん ミライくん
うーん、440と438……。その差の「2回」ですか。
佐藤先生 佐藤先生
大正解!1秒間に「大きな音」がやってくる回数は、二つの音の周波数の「差」とピッタリ一致するんだ。これを「うなりの周波数」と呼ぶよ。440ヘルツと438ヘルツなら、1秒間に2回「ブォーン、ブォーン」と聞こえるわけだね。
ミライくん ミライくん
へえー、すごくシンプルなんですね。じゃあ、もし差がもっと大きくなったらどうなるんですか。
佐藤先生 佐藤先生
差が「10」になれば、1秒間に10回。かなり速いリズムで震えて聞こえるよ。逆に、差がほとんどなくなって「0.1」とかになれば、10秒に1回だけ大きく聞こえるような、ゆったりしたうなりになる。
ミライくん ミライくん
ピアノの調律師さんとかが、音を合わせるときに「うなりを聞く」って聞いたことがあります。あれもこの仕組みを使っているんですか。
佐藤先生 佐藤先生
その通りだよ。二つの音が完全に一致すれば、引き算の答えは「0」になる。つまり、うなりが消えて真っ直ぐな一つの音に聞こえる。調律師さんは、わざと二つの音を鳴らして、うなりが消える瞬間を探しているんだ。物理学がプロの技を支えているんだね。

結論:うなりの仕組みと計算のルール

ミライくん、今日の話を整理してみよう。テストや日常生活で「うなり」に出会ったら、この3つのポイントを思い出してごらん。

ポイント1:うなりは「周波数がわずかに違う二つの音」が重なることで起きる。

全く同じ音でも、全然違う音でもダメ。ほんの少しだけ違う、というのがミソです。

ポイント2:音が大きくなったり小さくなったりするのは、波の「干渉(かんしょう)」のせい。

波の山と山が重なると大きな音になり、山と谷が重なると打ち消し合って小さな音になります。

ポイント3:1秒間のうなりの回数は「周波数の引き算」で決まる。

大きい方の数字から小さい方の数字を引くだけ。この「差」がうなりの正体です。

公式として書くとこうなるよ。
うなりの回数 f = | f1 - f2 | (二つの周波数の差の絶対値)

ミライくん ミライくん
佐藤先生、ありがとうございます!「ブォーン」という音の中に、波の足し算と引き算が隠れていたなんて驚きです。これから楽器の音が震えて聞こえたら、頭の中で引き算をしちゃいそうです。
佐藤先生 佐藤先生
ははは、それは立派な物理学者の視点だね。日常のちょっとした違和感の中に、宇宙のルールが隠れている。物理って、実はとても身近なものなんだよ。

理解度チェッククイズ

問1. うなりが発生するのは、二つの音の何がわずかに異なるときですか?

問2. 400ヘルツと405ヘルツの音を同時に鳴らしたとき、1秒間に聞こえるうなりの回数は何回ですか?

問3. うなりにおいて、音が一番大きく聞こえるのは、二つの波がどのような状態のときですか?