中学2年生だった頃、模試の偏差値は25だった。毎日机には向かっていた。問題集を解き、それなりの時間を勉強に費やしていた。
しかし手応えはまったくなかった。何から手をつければよいのか分からず、そもそも自分が何を分かっていないのかさえ分からなかった。目的のない反復作業として、勉強は「やらなければならないから、やる」ものになっていた。
転機は、入塾後の個別面談だった。塾長から尋ねられたのは、成績のことでも、志望校のことでもなかった。「将来、どんな生活を送っていたいか」という問いだった。最初は何も答えられなかった。将来のことなど、考えたこともなかったからだ。
しかし塾長は諦めずに、休日の過ごし方、住みたい場所、大切にしたい時間の使い方など、生活のさまざまな場面について繰り返し質問を重ねてくれた。具体的な職業には行き着かなくても、対話を重ねるうちに、自分がどんな暮らしを望んでいるのかというイメージが少しずつ輪郭を持ち始めた。
イメージが形になると、そこから逆算する形で、進学先についても考えられるようになった。どんな高校で、どんな大学で学べば、思い描く生活に近づけるのか。漠然としていた将来が、目指すべき通過点として具体的に見えてきた。
目標が明確になったことで、学習への取り組み方も根本から変わった。それまでの「とにかく全部やる」という姿勢から、「目標点を定め、そのために必要なことに絞って取り組む」という姿勢へ。
同じ勉強時間であっても、一つひとつの学習に意味が伴うようになった。何のためにこの単元をやるのか、この一問がどこにつながるのかを理解しながら机に向かうようになったのである。
そして迎えた1年後の模試。偏差値は25から46へ、21ポイント上昇していた。