産業革命の豊かさが、なぜ世界大戦を招いてしまったのか?
佐藤先生
ミライくん、今日は18世紀から19世紀にかけて世界をガラッと変えた「産業革命」の光と影についてお話ししよう。工場ができて、いろんなものが安く大量に作れるようになった、あの魔法のような出来事だね。
ミライくん
あ、それ知ってる!教科書だと、蒸気機関とか鉄道ができて、みんなの生活が便利になったって習ったよ。でも、便利になったならみんなハッピーなはずなのに、なんでそれが戦争、しかも世界中を巻き込む大きな戦争につながっちゃったの?
佐藤先生
いいところに気づいたね。実は、産業革命っていうのは「作りすぎて困る」という、現代にも通じる贅沢な、でも深刻な悩みを生んでしまったんだよ。
ミライくん
作りすぎて困る?お菓子をたくさん作っておやつパーティーができるなら、最高じゃない。
佐藤先生
個人のレベルならそうなんだけど、国や会社という単位で考えると話が違ってくるんだ。例えば、ミライくんが巨大な服の工場を作ったとする。機械が24時間フル稼働して、毎日1万着の服ができるようになった。最初はみんな「安い!便利だ!」って買ってくれるよね。
ミライくん
うん、大儲けできそうだ。
佐藤先生
でも、しばらくするとミライくんの周りの人たちはみんな服を持っちゃる。そうなると、工場を動かし続けても服が売れ残ってしまうよね。服が売れないと、工場を動かす電気代や、働いている人の給料が払えなくなって、会社が潰れてしまう。
ミライくん
それは困るな。だったら、遠くの町や他の国に売りに行けばいいんじゃない?
佐藤先生
その通り。それが「市場(しじょう)」、つまり売り場を探す旅の始まりだ。当時のイギリスやフランス、ドイツといった国々は、自分の国で余った商品を売るために、どんどん外の世界へ出て行ったんだ。
ミライくん
なるほど。でも、それだけで戦争になるかな。平和に「買ってください!」って言えばいいのに。
佐藤先生
そこが産業革命のもう一つの側面なんだ。工場を動かすには、服を作るための「綿花」や、機械を動かすための「石炭」や「石油」、ゴム製品を作るための「天然ゴム」といった原材料が大量に必要になる。これらを安く、しかも安定して手に入れたい。
ミライくん
あ、自分たちの国で取れないものを探しに行くわけだね。
佐藤先生
そう。自分の国にはない宝物を安く手に入れられて、しかも自分たちが作った製品を高く売りつけられる場所。そんな都合の良い場所を、当時の国々は求めたんだ。それが「植民地」だよ。
ミライくん
植民地って、力ずくで自分の国の陣地にすることだよね。
佐藤先生
悲しいけれど、そうなんだ。当時のヨーロッパの国々は、アフリカやアジアに目をつけた。そこには自分たちの国にない資源がたくさんあって、人もたくさん住んでいる。そこを支配してしまえば、原材料はタダ同然で手に入り、さらに売れ残った製品を強制的に買わせることもできる。
ミライくん
それって、いじめっ子が無理やり友達の家を自分の部屋にして、自分のいらなくなったおもちゃを買わせるようなもんじゃない?
佐藤先生
例えとしてはかなり近いね。最初はイギリスが世界中で植民地を広げて「日の沈まない帝国」なんて呼ばれるほど強くなった。それを見ていたドイツやイタリアといった、少し遅れて産業革命を成し遂げた国々はどう思ったかな?
ミライくん
えーっと、「ずるい!僕たちもあんな場所が欲しい!」って思うんじゃないかな。
佐藤先生
まさにその通り。でも、ミライくん、世界地図を見てごらん。地球の大きさは決まっているよね。早い者勝ちでイギリスやフランスが良い場所をほとんど取ってしまった後だったんだ。
ミライくん
あ、もう空いている場所がないんだ。
佐藤先生
そうなんだ。後から来た国が自分の「売り場」や「資源の宝庫」を手に入れようと思ったら、もうすでに誰かが持っている場所を奪い取るしかない。
ミライくん
あ、それが「植民地の奪い合い」か!
佐藤先生
その通り。国と国が、「あそこは俺の場所だ」「いや、俺の市場だ」と言い争い、それぞれが仲間を増やして巨大なグループを作った。そして、何かのきっかけで一つ火がついた瞬間、一気に爆発してしまった。これが第一次世界大戦の大きな原因なんだよ。
ミライくん
産業革命で豊かになりたいっていう気持ちが、いつの間にか「隣の国から奪わないと生きていけない」っていう恐ろしい考えに変わっちゃったんだね。
佐藤先生
そうだね。便利さを求めた結果、皮肉なことにその技術(大量生産)を使って、さらに恐ろしい兵器を大量に作るようになってしまった。科学の進歩が、そのまま戦争の規模を大きくしてしまったんだ。
ミライくん
豊かになるのも、使い道を間違えると大変なことになるんだね。
佐藤先生
とても大事な教訓だね。では、今日のお話をまとめてみよう。
産業革命が世界大戦につながった理由:まとめ
1.「作りすぎ」による売り場の確保(市場の奪い合い)
機械による大量生産が始まると、自国の中だけでは製品が売れ残るようになりました。企業や国家は、製品を確実に売るための場所として海外に「市場」を求め、それが植民地の拡大へと繋がりました。
2.「原材料」の確保と資源の独占
工場を動かし続けるためには、自国では手に入らない資源(綿花、ゴム、石油など)を安く安定して確保する必要がありました。これらの資源が豊富なアフリカやアジアの土地を自国の支配下に置こうとする競争が激化しました。
3.後発国の追い上げと、地球上の「空き地」の減少
イギリスなどの先行した国が世界の良い場所を先に植民地にしてしまったため、後から成長したドイツなどの国々は、既存の勢力から土地を奪い取るしか道がなくなりました。この「持てる国」と「持たざる国」の対立が、世界を二分する大戦の引き金となりました。
結論として、産業革命によって爆発的に増えた「生産力」と「欲」を、当時の世界という限られた枠の中で収めきれなくなったことが、人類史上最大の奪い合いである世界大戦を招いたと言えます。
チェックテスト(全3問)
Q1. 産業革命で大量生産ができるようになった結果、国が困ったことは?
Q2. 原材料を安く手に入れ、製品を無理やり売るための場所を何という?
Q3. 世界大戦(奪い合い)が起きた直接的な理由は?
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