平安時代の「受領」とは?欲深い現場監督が武士の時代を作った理由
平安時代の現場監督?「受領」の正体を暴け!
ミライくん
佐藤先生、歴史の勉強をしていて、どうしても意味がわからない言葉が出てきたんです。「受領」って言葉なんですけど、これって何て読むんですか?あと、何をした人たちなんですか?
佐藤先生
それは「ずりょう」と読むんだよ。ミライくん、漢字だけ見ると「何かを受け取る」っていうイメージかな?
ミライくん
そうです。荷物を受け取るときに「受領印」とか言いますよね。だから、何かを届ける係の人なのかなって思っちゃいました。
佐藤先生
なるほどね。でも平安時代の歴史で出てくる「受領」は、実は「現場監督」兼「社長」みたいな、すごく力を持った役人のことなんだよ。
ミライくん
現場監督で、社長……?全然イメージが湧かないです。そもそも、普通の貴族とは違うんですか?
佐藤先生
いい質問だね。平安時代、都にはたくさんの貴族がいたよね。藤原氏みたいにランクが高い貴族は、都で王様(天皇)のそばにいて政治をする。でも、ランクがそこまで高くない「中級貴族」たちは、都にいてもなかなか出世できないんだ。そこで彼らが目をつけたのが、地方の「国司」という仕事だったんだよ。
ミライくん
国司って、地方の県知事みたいな仕事ですよね。昔、習いました。
佐藤先生
その通り。国司は普通、4人くらいのチームで地方に派遣されるんだけど、そのチームのリーダー(守:かみ)のことを、特に「受領」と呼ぶようになったんだ。なぜそう呼ばれるかというと、前の担当者から仕事を引き継ぐときに「確かに事務を引き継ぎました」っていう受領証(受領状)を交わすからなんだよ。
ミライくん
へぇ、引き継ぎのハンコをもらうから「受領」なんですね。でも、地方に行くのって、都から離れるから「左遷」というか、損な役回りじゃないんですか?
佐藤先生
今の感覚だとそう思うよね。でも、当時の受領は「ボロ儲けできる最高の仕事」だったんだ。ミライくん、地方の役人の一番大事な仕事って何だと思う?
ミライくん
うーん、その土地を守ることとか、悪い人を捕まえることですか?
佐藤先生
それもあるけど、国(朝廷)にとって一番大事なのは「税金(お米)」をしっかり集めて都に送ることなんだ。受領には、その土地で集めた税金を管理する大きな権限が与えられていた。そこで彼らは考えたんだ。「国に決まった分だけ送れば、余った分は自分のポケットに入れちゃってもバレないんじゃないか?」ってね。
ミライくん
ええっ!それって横領じゃないですか。
佐藤先生
現代なら大問題だね。でも当時は、都の高級貴族たちも「地方のことなんてよくわからないから、とにかく決まった分のお米さえ送ってくれれば、あとは好きにしていいよ」っていうスタンスだったんだ。だから受領たちは、農民から厳しく税を取り立てて、私腹を肥やしていったんだよ。
ミライくん
農民たちはたまらないですね。
佐藤先生
そうだね。だから当時の言葉で「受領は倒るる所に土をも掴め」なんて言われたんだ。「受領というやつは、転んでもただでは起きない。転んだ先の土さえ掴んで自分のものにするくらい欲深い」という意味だよ。それくらい、彼らは必死にお金を稼いだんだ。
ミライくん
なんだか悪い人たちに聞こえてきました。でも、その稼いだお金はどうするんですか?ただ貯めるだけ?
佐藤先生
ここが平安時代の面白いところなんだ。受領たちは稼いだお金を使って、都の高級貴族たちにプレゼント(わいろ)を贈ったんだよ。豪華な屋敷を建ててあげたり、貴重な品物を献上したりしてね。そうすることで、また次も「稼げる国」の国司に任命してもらえるように頼み込んだんだ。これを「成功(じょうごう)」と言って、同じ仕事を何度も続けることを「重任(ちょうにん)」と言うんだよ。
ミライくん
自分のお金のために高級貴族に取り入る。なんだか今の時代でもありそうな話ですね……。
佐藤先生
あはは、そうだね。でも、受領たちがこうやって「自分の実力でお金を稼ぎ、自分の力で道を切り拓く」という生き方を選んだことは、歴史を大きく変えるきっかけになったんだ。都で家柄だけを気にしておっとり暮らしている貴族たちとは、ガッツが全然違ったんだよ。
ミライくん
ガッツがあるのはすごいですけど、農民たちは黙って見てたんですか?
佐藤先生
もちろん、あまりにひどい受領に対しては「この受領をクビにしてください!」って朝廷に訴えを起こすこともあったよ。有名なのは尾張国(今の愛知県)の農民たちが書いた「尾張国郡司百姓等解文」という訴えだね。でも、受領たちはどんどん強くなっていく。そんな受領たちの身の回りを守ったり、土地の争いを解決したりするために「武器を持って戦う人たち」が出てきた。それが「武士」の始まりなんだ。
ミライくん
あ!受領がいたから、武士が出てくる流れになるんですか?
佐藤先生
そう。多くの受領の家系から、後の有名な武士のリーダーたちが生まれているんだよ。例えば清和源氏や平氏も、もともとは家柄がいい貴族だったけど、地方の受領として力を蓄えて、そこから武士のトップになっていったんだ。
ミライくん
なるほど。ただの「受け取り係」かと思ったら、平安時代の終わりを準備して、次の武士の時代を作るエネルギーを持った人たちだったんですね。
佐藤先生
その通り。平安時代の中期以降の社会を動かしていたのは、実は都の華やかな貴族たちだけじゃなくて、泥臭く地方で力を蓄えたこの受領たちだったんだよ。
結論
受領(ずりょう)とは、平安時代の中期から後期にかけて、地方の政治を任された国司(こくし)の最高責任者のことです。
1.中級貴族の稼ぎ場
都で高い役職につけない中級貴族たちが、地方へ行って税金を集める仕事を引き受けました。彼らは朝廷に納める税金さえ確保すれば、残りは自分の利益にできたため、非常に裕福になりました。
2.「倒るる所に土をも掴め」
非常に欲深く、どんな状況でも利益を得ようとするたくましい性質を持っていました。稼いだお金で高級貴族に寄付(成功・じょうごう)をして、さらに良い役職を狙いました。
3.武士の時代の足がかり
受領が地方で力を持ち、また土地を守るために武装化が進んだことが、後の「武士」の誕生に深く関わっています。家柄ではなく実力や財力で世の中を動かそうとした、エネルギッシュな人たちだったと言えます。
チェック問題!
Q1. 「受領」の正しい読み方はどれ?
Q2. 受領が地方で私腹を肥やすことができた最大の理由は?
Q3. 受領が稼いだお金で高級貴族に寄付(わいろ)を贈ることを何という?
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