【古典文法】助動詞「しむ」の使役と尊敬で迷わない!文脈から見抜く識別法|みらいキャリアアカデミー

古文の助動詞「しむ」をマスターしよう!佐藤先生とミライくんの白熱教室

古典の勉強をしていて、どうしても意味が分からなくなる言葉があるんです。

おや、ミライくん、どうしたの。どの言葉でつまずいてしまったのかな。

しむ、という言葉なんです。教科書に出てきたんですけど、使われ方によって意味が全然違うような気がして、頭がこんがらかってしまいました。

なるほど、助動詞の、しむ、だね。確かにこれは、パッと見ただけだとどういう意味なのか掴みにくいかもしれない。でもね、ミライくん、この、しむ、が持っている役目は、大きく分けると二つしかないんだよ。

えっ、二つだけなんですか。もっとたくさんあるように見えていました。

そうんだ。実は、使役、という意味と、尊敬、という二つの意味しかないんだ。まずはこの二つの言葉のイメージをしっかり掴むところから始めてみよう。使役、という言葉は、普段あまり使わないから難しく感じるかもしれないけれど、簡単に言うと、誰かに何かをさせる、という意味なんだ。

誰かに何かをさせる、ですか。

そう。例えば、お母さんがミライくんに、部屋を掃除させる、というような状況だね。このように、上の立場の人が下の立場の人に命令して、ある行動をさせることを、使役、と呼ぶんだ。英語の勉強で、メイクとかハブを使って、人に何かをさせる表現を習ったのを覚えているかな。

あ、なんとなく覚えています。人に何かをしてもらうというか、命令してやらせる感じですね。

その通り。古文の世界でも、その、させる、というニュアンスを付け加えたいときに、しむ、という言葉をくっつけるんだ。

なるほど。じゃあもう一つの、尊敬、というのはどういう意味ですか。

尊敬は、現代でも、尊敬語、とかで使うよね。相手を高めて、敬意を表す言い方だ。つまり、身心の高い人や偉い人が、何かをなさる、という意味になる。

誰かに何かをさせる、という意味と、偉い人が何かをなさる、という意味。確かに全然違いますね。でも、一つの言葉がどうしてそんな真逆みたいな意味を持つんですか。

そこが古文の面白いところであり、受験生が苦労するところだね。でも、見分けるための絶対的なルールがあるから安心していいよ。そのルールさえ覚えてしまえば、どちらの意味なのか迷うことはなくなるんだ。

そのルール、ぜひ教えてください。

よし、じゃあ順番に説明していくね。まず、一番よく出てくる、使役、の意味から見ていこう。使役の、しむ、が使われるとき、文章の中に、誰々に、という、行動をさせられる相手が隠れていることが多いんだ。例えば、人に命じて文字を書かせる、という文があったとする。これを古文風に言うと、人に書かしむ、となるんだ。

人に書かしむ、ですね。

そう。この場合、書くという行動をするのは誰かな。

ええと、人、ですか。

大正解。命じているのは別の誰か、例えば主語になる偉い人かもしれないけれど、実際にペンを持って書くのは、人、だよね。このように、しむ、の前に、人に、とか、誰々に、という言葉があるとき、あるいは、文脈からそういう相手が読み取れるときは、百パーセント、使役、つまり、させる、という意味になるんだ。

なるほど。誰かが他の人にやらせているな、と分かれば使役なんですね。

その通り。じゃあ、ちょっと練習してみようか。現代語でも、例えば、先生が宿題をやらせる、と言ったら、実際に宿題を解くのは生徒だよね。古文でも全く同じ考え方でいいんだ。しむ、の直前にある動詞に注目して、その動詞の行動を実際に起こしているのが、主語の人ではなくて、別の人である場合は、すべて使役になる。

動詞の行動を実際にする人が、別の人。

そう。じゃあ、もう一つの、尊敬、という意味になるのはどんなときだと思う。

うーん、実際にその行動をするのが、主語の人自身、のときですか。

素晴らしい。まさにその通りだよ、ミライくん。行動をするのが、主語になっている、ものすごく偉い人、例えば天皇陛下とか、お妃様とか、大将軍とか、そういう雲の上の存在の人の場合だ。その偉い人が自分自身で何かをなさるときに、その行動を最高に敬うために、しむ、をつけることがあるんだ。

でも、先生。それだと、偉い人が自分でやっているのか、それとも誰かにやらせているのか、文を見ただけじゃ区別がつかなくなりそうですが。

良いところに気がついたね。実は、尊敬の意味で、しむ、が使われるときには、ものすごく強力な目印があるんだ。それはね、しむ、のすぐ後ろに、給ふ、という別の尊敬の言葉がくっつく、ということなんだ。

しむ給ふ、という形になるんですか。

その通り。文章の中で、しむ給ふ、あるいは、せ給ふ、させ給ふ、というように、二つの言葉がセットになって出てきたら、それは最高級の尊敬表現、最高敬語、と呼ばれるものになるんだ。

最高敬語、ですか。

そう。これが出てきたら、主語はもう、天皇陛下や皇族のような、国の中で一番偉いレベルの人だと決まる。そして意味は、お書きになる、とか、お乗りになる、というように、偉い人が何かをなさる、という意味になるんだ。だから、しむ、の後に、給ふ、という言葉がセットになっていたら、まずは尊敬の意味を疑ってみるといい。

しむ給ふ、を見つけたら尊敬。これはすごく分かりやすい目印ですね。

分かりやすいだろう。ただ、ここで一つだけ、罠があるんだ。

えっ、罠ですか。

そう。実は、しむ給ふ、という形になっていても、尊敬ではなくて、使役、の意味になることがあるんだよ。

ええ、せっかく見分けるルールだと思ったのに、そんなのずるいです。どうやって見分ければいいんですか。

ははは、驚かせてごめんね。でも大丈夫、これも見分け方はすごくシンプルなんだ。さっき、使役の意味のときは、誰々に、という相手がいると言ったよね。

はい。人に、とか、部下に、とか、行動をさせられる相手ですね。

そう。もし、しむ給ふ、という形になっていても、文の中に、誰々に、という、命令されて動く部下や使用人がはっきりと書かれていたり、文脈から明らかに誰かに命令していると分かるときは、使役、の意味になるんだ。つまり、偉い人が、部下に、何かをさせなさる、という意味になる。

なるほど。偉い人が自分でやっているんじゃなくて、偉い人が誰かにやらせている、という状況なら、しむ、の部分はやっぱり使役になるんですね。

完璧な理解だよ、ミライくん。偉い人が誰かに命令して何かをさせるとき、命令していること自体は使役だから、しむ、を使う。そして、命令している主語が偉い人だから、その偉い人への敬意として、後ろに、給ふ、をつける。だから、偉い人が誰かに何かをさせなさる、という意味になるんだ。

じゃあ、しむ給ふ、という形を見たときは、まずは、誰かにやらせている相手がいるかどうか、を探せばいいんですね。

その通り。もし、誰かにやらせている相手がどこにもいなくて、主語の偉い人が自分一人でその行動をしているなら、それは純粋な尊敬の意味になって、お体に傷をおつけになる、とか、お言葉を発せられる、というような意味になるんだ。

分かりました。しむ、の後ろに、給ふ、があるかどうか。そして、行動をさせられている別の人がいるかどうか。この二つのステップで考えればいいんですね。

その通りだよ。これで、しむ、の意味の聞き分けはばっちりだ。では次に、テストでよく狙われる、しむ、の形について話しておこう。古文の言葉って、形がどんどん変わるだろう。活用、ってやつだね。

うわあ、活用。あれを覚えるのが一番苦手なんです。未然形とか連用形とか、名前がたくさんあって覚えられません。

みんなそこで苦労するよね。でも、しむ、の活用は、実はミライくんがよく知っている動詞の形と全く同じんだ。英語の不規則変化みたいに、新しく特別なものを覚える必要はないんだよ。

え、本当ですか。何と同じなんですか。

下二段活用、という形と同じんだ。具体的に言うと、現代語の、食べる、という言葉の変形にすごく似ている。例えば、食べない、食べます、食べる、食べるとき、食べれば、食べろ、というように、べ、の音が中心になって変わっていくよね。しむ、の場合は、め、み、む、むる、むれ、め、という風に変わるんだ。

め、み、む、むる、むれ、め、ですか。

そう。これを順番に言うと、未然形が、しめ、連用形が、しみ、終止形が、しむ、連体形が、しむる、已然形が、しむれ、命令形が、しめ、となる。ちょっと呪文みたいだけど、口に出してリズムで覚えると簡単だよ。しめ、しみ、しむ、しむる、しむれ、しめ。さんはい。

しめ、しみ、しむ、しむる、しむれ、しめ。あ、意外と言いやすいですね。

そうだろう。じゃあ、この活用の中で、テストに一番出やすいのはどこだと思う。

うーん、普通の形の、しむ、ですか。

実はね、文の途中に出てくる、しめ、という形がよく狙われるんだ。なぜなら、しめ、という形は、未然形と命令形の二つの可能性があるからね。特に、しめ、の後ろに、別の言葉がくっついているときは、それが何形なのかを答えさせる問題がよく出るんだ。

後ろに何がくっつくかで、何形か分かるんですか。

そうなんだ。例えば、しめ、の後ろに、ず、という打ち消しの言葉がついたり、ば、という条件の言葉がついたりすることがある。古文には、この言葉の上には未然形が来る、というルールが決まっているんだよ。しむ、という言葉自体も、実は動詞の、未然形、という形の下にくっつくというルールがあるんだ。

動詞の未然形の下にくっつくんですか。

そう。例えば、書く、という動詞なら、未然形は、書か、になるよね。書かない、の、書か、だ。その下に、しむ、がくっつくから、書かしむ、となる。歩く、なら、歩かせ、だから、歩かしむ、だ。このように、必ず動詞の未然形にくっつく、というのも、しむ、の大切な特徴なんだ。

なるほど。動詞の未然形の下にあって、それ自身も、しめ、しみ、しむ、という風に形を変えるんですね。

その通り。だんだんパズルみたいに繋がってきただろう。古文はね、暗記するだけじゃなくて、こういうルールの組み合わせで解いていくものなんだ。

ルールが分かると、なんだかゲームみたいで少し楽しくなってきました。

それは良かった。じゃあ、ここまでの知識を使って、実際の古文の文を頭の中で想像してみよう。例えば、物語の中で、ある貴族が、お医者さんに薬を作らせる、という場面があったとする。これは使役かな、尊敬かな。

貴族がお医者さんに作らせる。実際に作るのはお医者さんだから、使役です。

大正解。じゃあ、その文を古文にすると、医者に薬を作らしむ、というようになる。この、しむ、は使役だね。じゃあ、今度は別の場面。天皇陛下が、お気に入りの和歌を、ご自身のノートにお書きになる、という場面があったとする。これはどうだろう。

天皇陛下が自分で書いているから、尊敬ですか。

そう。そのとき、文章では、書かしめ給ふ、という形になったりする。しめ、の後ろに、給ふ、があるから、最高級の尊敬になって、お書きになる、と訳すんだ。

なるほど。誰がその行動をしているのかを見極めるのが、本当に大切なんですね。

その通り。古文を読むときは、常に、この行動をしているのは誰だろう、という主語を意識することが一番の近道なんだ。日本語は現代語でも主語を省略しがちだけど、古文はもっと省略されるからね。だからこそ、この、しむ、のような助動詞が、主語が誰なのかを教えてくれるヒントになるんだよ。

しむ、が主語を見つけるヒントになるんですか。

そうだよ。もし文章を読んでいて、誰が何をしたのか分からなくなったとき、しむ給ふ、という言葉が見つかったら、あ、これは天皇陛下か、それに並ぶもの凄く偉い人が自分でやったんだな、と分かる。逆に、しむ、の前に、門番に、とか、従者に、という言葉があれば、あ、偉い人が部下に命令してやらせたんだな、と分かる。つまり、しむ、は物語の状況を教えてくれる、探偵の虫眼鏡のようなものなんだ。

探偵の虫眼鏡、分かりやすいです。これからは、しむ、を見つけたら、主語を突き止める手がかりにしてみます。

素晴らしい心がけだね、ミライくん。助動詞をただの文法用語として覚えるんじゃなくて、文章を読むための道具として使えるようになると、古文の成績はぐんぐん上がっていくよ。

先生、もう一つ質問してもいいですか。

もちろんいいよ。何でも聞いてごらん。

しむ、と同じような意味を持つ言葉って、他にもありますか。さっき先生が、せ給ふ、とか、させ給ふ、って言っていたような気がするんですけど。

おっ、よく覚えていたね。その通り、実は、しむ、の他に、す、と、さす、という助動詞もあるんだ。これらも全く同じように、使役、と、尊敬、の意味を持っているんだよ。

ええ、同じ意味の言葉が三つもあるんですか。どうして使い分けるんですか。

基本的には、使われる時代や、文章の種類によって好みが違うんだ。す、や、さす、は、普通の物語や日記などでよく使われる。それに対して、しむ、は、ちょっと改まった文章や、漢文を日本語に直したような文章で好んで使われる傾向があるんだ。

漢文ですか。

そう。漢文の授業で、使役の漢字って習わなかったかな。使、という漢字や、令、という漢字だ。

あ、見覚えがあります。人に命令する意味の漢字ですね。

そう。漢文を日本語として読むとき、その、使、や、令、の漢字のところに、しむ、という言葉を当てはめて読むルールがあるんだ。だから、しむ、という言葉は、ちょっと硬い、インテリっぽい響きがする言葉なんだよ。

インテリっぽい響き。なんだかかっこいいですね。

現代語で言うと、させる、というよりも、せしめる、と言うようなものだね。泥棒を捕まえさせる、と言うよりも、泥棒を捕まえせしめる、と言った方が、なんだか物語っぽくて硬い感じがするだろう。

確かに、ちょっと昔の劇とか、小説に出てきそうな格好いい言い方ですね。

そう。だから、しむ、が出てきたら、ちょっと引き締まった、格好いい文章なんだな、と思えばいい。意味や使い方のルールは、す、や、さす、とほとんど同じだから、新しく別のルールを覚える必要はないよ。

それを聞いて安心しました。同じルールが使い回せるなら、怖くないです。

そうだね。古文の助動詞はたくさんあるように見えて、こうして整理していくと、意外と共通するルールが多いんだ。一見難しそうに見える言葉でも、基本の二つの意味と、後ろにくっつく言葉の目印さえ押さえておけば、テストの問題でもすぐに解けるようになるよ。

はい。何だか、しむ、についての霧がすっきりと晴れたような気がします。

それは良かった。ミライくんが一生懸命話を聴いて、自分で考えてくれたからだよ。これからもその調子で、一つずつの言葉のイメージを大切にしながら勉強を進めていこうね。

はい、ありがとうございます。これからは自信を持って古文の文章を読んでみます。

うん、応援しているよ。もしまた分からない言葉が出てきたら、いつでも聞いてね。

ありがとうございます。忘れないうちに、今日習ったことをノートにまとめておこうと思います。

素晴らしいね。覚えたことはすぐにアウトプットするのが、一番記憶に残る方法だからね。じゃあ、最後に今日勉強したことのまとめとして、頭の中を整理するための結論をノートに書いておくといいよ。

はい、お願いします。

古文の助動詞「しむ」の識別と理解のまとめ

1.意味の種類と見分け方のルール

  • 使役(〜させる)
    文の中に「人に」「部下に」といった、行動をさせられる相手が具体的に書かれているか、または文脈から読み取れる場合は「使役」となります。主語以外の別の人が、その行動を実際に起こしている状態を指します。
  • 尊敬(〜なさる)
    主語が天皇や皇族などの極めて身心の高い人物であり、その人自身が自ら行動している場合は「尊敬」となります。このとき、多くの場合は「しむ給ふ」という形で、後ろに尊敬の補助動詞「給ふ」を伴う最高敬語のセットとして登場します。

2.「しむ給ふ」の形の注意点

「しむ給ふ」という強力な目印の形になっていても、文脈の中に「誰々に(〜させる)」という命令の対象となる相手が存在する場合は、尊敬ではなく「使役+尊敬(〜させなさる)」の意味になります。相手がいない場合のみ、純粋な「尊敬(〜なさる)」として解釈します。

3.活用と性質のルール

  • 活用の形
    下二段活用(め、み、む、むる、むれ、め)の形に変化します。文脈や後に続く言葉によって形が変わるため、リズムで音を覚えておくことが大切です。
  • 言葉の雰囲気
    同じ使役・尊敬の意味を持つ「す」「さす」に比べて、漢文訓読に由来する少し硬く改まった、文章語的な響きを持つ特徴があります。

理解度チェッククイズ(全3問)

Q1. 「人に書かしむ」という文の「しむ」の意味は何でしょうか?

Q2. 「しむ給ふ」という形があり、文の中に誰かにやらせる相手(人に、等)がどこにもいない場合、「しむ」の意味は何になりますか?

Q3. 助動詞「しむ」の活用の型は次のうちどれと同じでしょうか?

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