佐藤先生
こんにちは、ミライくん。今日も一緒に楽しく社会の勉強を始めていこう。
ミライくん
こんにちは、先生。よろしくお願いします。あの、今日のテーマって何ですか。教科書を見たら基本的人権って書いてあったんですけど、漢字ばかりでなんだか難しそうで、すでに頭が痛くなってきました。人権って、そもそも何なんですか。
佐藤先生
確かに漢字が並ぶと難しく感じるよね。でも、中身は全然難しくないし、実はミライくんにとってもものすごく身近で、毎日お世話になっている超重要な仕組みんだ。一言でいうと、基本的人権っていうのは、人間が人間らしく、幸せに生きるための権利のことだよ。もっと簡単に言えば、生まれたときから全員が持っている、誰にも邪魔されない心のバリア、あるいはスーパーパワーみたいなものだね。
ミライくん
生まれたときから全員が持っているんですか。僕も持っているってことですか。
佐藤先生
もちろん。ミライくんも、僕も、日本に住んでいる人も、世界中の人も、赤ちゃんからおじいちゃんまで全員が最初から持っている。この人権というバリアがあるから、僕たちは誰かから意地悪をされたり、理不尽に命令されたりせずに、自分の生きたいように生きることができるんだ。
ミライくん
へえ、誰にも邪魔されないバリアか。そう聞くとちょっとかっこいいですね。でも、それって具体的にどんなバリアなんですか。僕、普段生活していて、これが人権だなって感じたことなんて一度もないですよ。
佐藤先生
そうだよね。空気と同じで、普段は当たり前すぎて気づかないんだ。じゃあ、ちょっと想像してみてほしい。もしもこの世界に人権というルールがなかったらどうなるか。例えば、ある日突然、偉い人がやってきて、ミライくん、君は今日から毎日、僕の家を掃除しなさい。給料は一円もあげません。拒否したら牢屋に入れますって言われたらどうする。
ミライくん
ええっ。そんなの絶対に嫌ですよ。なんでそんな勝手な命令に従わなきゃいけないんですか。自分の家ならともかく、知らない人の家の掃除なんてやりたくないし、タダ働きなんて泥棒じゃないですか。僕は自分の部屋でゲームをしたり、友達と遊んだりしたいです。
佐藤先生
そうだよね。自分の時間をどう使うか、どんな仕事をしたいか、それとも休みたいかは、ミライくんが自分で決めることだ。このように、誰からも無理やり縛られたり、奴隷みたいに扱われたりしないこと。これを自由権というんだ。人権の中でも、特に大事なバリアの一つだよ。
ミライくん
自由権、ですか。自由に生きる権利ってことですね。
佐藤先生
その通り。自由権には、体を縛られない自由だけじゃなくて、色々な自由が含まれている。例えば、ミライくんは将来、どんな仕事をしたい。
ミライくん
うーん、まだはっきりとは決めていないですけど、ゲームを作る人とか、ユーチューバーとか、美味しいラーメン屋さんとか、色々興味があります。
佐藤先生
どれも素敵だね。ミライくんがそうやって、将来何になろうかなって自由に夢を見られるのも、実は自由権のおかげなんだ。昔の歴史を勉強すると、生まれた家によって、将来の仕事が最初から決まっていた時代もあったよね。農家の子は絶対に農家、武士の子は絶対に武士、みたいにね。でも、今の日本には自由権があるから、自分が就きたい職業を自由に選ぶことができる。これを職業選択の自由というんだ。
ミライくん
なるほど。昔の人は自分の仕事を自由に選べなかったんですね。そう考えると、今の僕たちが何になろうか迷えるのって、すごく贅沢でありがたいことなんだな。
佐藤先生
本当にそうだね。他にもあるよ。ミライくんは、週末にどこかへ出かけたり、将来は別の街に住んでみたいなって思ったりしたことはあるかい。
ミライくん
ありますよ。夏休みには旅行に行きたいし、大人になったら東京とか、おしゃれな街の一人暮らしにも憧れます。
佐藤先生
それも自由権の一つで、居住・移転の自由というんだ。自分の好きな場所に住んでいいし、好きな場所に旅行していいという権利だね。もし人権がなかったら、国から、君は一生この村から出てはいけませんって命令されてしまうかもしれない。そうされたら窮屈でしょ。
ミライくん
めちゃくちゃ窮屈です。自分の行きたい場所にも行けないなんて、まるで鳥かごの中の鳥みたいですね。
佐藤先生
その表現、すごく分かりやすいね。まさに鳥かごから出してくれるのが自由権んだ。他にも、ミライくんが心の中で何を考えても自由だし、どんな宗教を信じてもいいし、国や学校に対して、ここをもっとこうしてほしいなという意見を言うのも自由なんだよ。自分の意見を言う自由のことを表現の自由というけれど、これも自由権のとても大切な仲間なんだ。
ミライくん
自分の意見を言うのも自由なんですね。じゃあ、学校の先生に、宿題を少なくしてくださいって言うのも、表現の自由なんですか。
佐藤先生
あはは、言うこと自体は表現の自由だね。それが通るかどうかは別の話しだけどね。でも、国に向かって、今の政治はここがおかしいぞと批判しても、警察に捕まったりしないのは、この表現の自由が守られているからなんだ。もしこれがなかったら、国の悪口を言っただけで牢屋に入れられるような、恐ろしい社会になってしまうんだよ。
ミライくん
そう考えると、自由って本当に大切ですね。僕たちが普段、何気なくおしゃべりしたり、好きな動画を見たり、行きたい場所に行ったりできるのは、全部その自由権というバリアに守られているからなんだ。
佐藤先生
よく分かってきたね、ミライくん。でもね、人権にはこの自由権のほかにも、もう一つ大きな柱があるんだ。それが平等権というものだよ。
ミライくん
平等権。文字通り、みんなが平等ってことですか。
佐藤先生
その通り。すべての人は、生まれつき肌の色が違っても、男の人でも女の人でも、お金持ちの家に生まれても貧しい家に生まれても、みんな人間としての価値は同じだから、差別されてはいけないというルールんだ。例えば、学校のテストで、同じ点数を取ったのに、男の子だから合格で、女の子だから不合格ですって言われたら、どう思う。
ミライくん
それは絶対にズルいです。点数が同じなら、男とか女とか関係なく、同じように合格にするべきですよ。
佐藤先生
そうだよね。そういう理不尽な差別を禁止して、みんなを同じように扱おうというのが平等権なんだ。法律の前ではみんな平等という大原則が、日本の憲法という一番強いルールにもしっかりと書かれているんだよ。
ミライくん
みんなが平等っていうのは、すごく安心しますね。もし、見た目や性別だけで差別される社会だったら、毎日ビクビクして生きなきゃいけなくなっちゃう。
佐藤先生
本当にその通りだね。ここまでの自由権と平等権、この二つが基本的人権の大きな基礎になっているんだ。でもね、時代が進むにつれて、これだけでは救えない問題が出てきたんだよ。ちょっと次の話しをしてみよう。ミライくん、もし、国が何もかもを自由にして、完全にほったらかしにしたら、社会はどうなると思う。
ミライくん
え、自由なんだから、みんなハッピーなんじゃないですか。好きなことをして、好きな仕事をして、のんびり暮らせばいい気がしますけど。
佐藤先生
一見そう思うよね。でも、完全に自由で、国が何のお世話もしてくれない社会を想像してみて。もし、ある人が大怪我をして働けなくなってしまったとする。お金がなくなって、ご飯も買えない、住む家もなくなってしまった。そのとき、国が、我が国は自由な国ですから、あなたが貧しくなったのもあなたの自由です。国は助けません、自分でなんとかしてくださいって言ったら、その人はどうなってしまうだろう。
ミライくん
そんなの、死んじゃいますよ。働きたくても働けないのに、助けてくれないなんて冷たすぎます。
佐藤先生
そうだよね。つまり、完全に自由にしてほったらかしにすると、お金持ちや健康な人はどんどん幸せになれるけれど、病気の人や、仕事が見つからない人、お年寄りなんかは、生きていくことすらできなくなってしまうんだ。そこで新しく生まれたのが、社会権という権利なんだよ。
ミライくん
社会権。さっきの自由権とは何が違うんですか。
佐藤先生
自由権は、国に対して、僕の邪魔をしないで放っておいてくれという権利だったよね。それに対して社会権は、国に対して、僕たちが人間らしく生きられるように、ちゃんと助けてくれ、サポートしてくれと要求する権利なんだ。
ミライくん
なるほど。放っておいてじゃなくて、助けてって言う権利なんですね。
佐藤先生
その通り。この社会権の中で一番有名なのが、生存権という権利だ。日本の憲法には、すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、という有名な言葉が書かれている。これは、どれだけ貧しくなっても、どれだけ病気になっても、人間として恥ずかしくない最低限の生活は、国が絶対に保証しますよという約束なんだ。だから、本当にお金がなくて困ったときには、国から生活費をもらえる生活保護という仕組みがあったり、病気になったときに安いお金で病院に行ける仕組みがあったりするんだよ。
ミライくん
健康で文化的な最低限度の生活。なんだか難しい言葉だけど、要するに、国が絶対に飢え死にさせないように守ってくれるってことですね。それなら安心だ。
佐藤先生
安心だよね。そして、この社会権には、ミライくんに関係のある超重要な権利がもう一つ含まれているんだ。それが、教育を受ける権利だよ。
ミライくん
教育を受ける権利。それって、僕たちが今、学校に行って勉強していることですか。
佐藤先生
そうだよ。すべての子どもは、国からしっかりと教育を受けさせてもらう権利があるんだ。もしこの権利がなかったら、お金持ちの子どもしか学校に行けなくて、貧しい家の子どもは文字の読み書きも教われないまま大人になってしまうかもしれない。それだと、大人になったときに良い仕事に就くのが難しくなって、ずっと貧しいままになってしまうよね。だから国は、すべての人が平等に勉強できるように、小学校や中学校の教科書をタダにしたり、義務教育の学校を作ったりしているんだ。
ミライくん
ええっ。僕、毎日学校に行くのが面倒くさいな、なんて思うこともあったんですけど、実は学校で勉強できること自体が、国に守られた大切な権利だったんですね。
佐藤先生
そうなんだよ。勉強できる環境があるというのは、世界的に見ても実はものすごく恵まれていることなんだ。人権というルールがあるからこそ、ミライくんは命の危険を感じることなく、毎日安全に学校に通って、知識を身につけることができているんだよ。
ミライくん
なんだか、人権のありがたみが少しずつ分かってきました。自由権で自分のやりたいことを守ってもらって、平等権で差別のない安心な社会にしてもらって、社会権で困ったときには国に助けてもらう。この三つがあれば、無敵じゃないですか。
佐藤先生
そうだね。この三つの柱のおかげで、僕たちの幸せな生活は成り立っている。でもね、ミライくん。ここで一つ、とても大事な落とし穴があるんだ。みんながこの強力な人権というバリアを持っているということは、どういうことだと思う。
ミライくん
みんなが持っているんだから、みんなが無敵で、みんなが幸せってことですよね。
佐藤先生
そうであれば最高なんだけど、もしミライくんが自分の自由権だけをアピールして、よーし、僕は自由だから、夜中の3時に大音量で音楽をかけて踊るぞ。だって表現の自由だし、行動の自由だもん、ってやったらどうなる。
ミライくん
それは、隣の家に住んでいる人が眠れなくなって迷惑しちゃいますね。怒られそうです。
佐藤先生
そうだよね。隣の人にだって、夜静かに眠る自由や、健康に生きる権利がある。つまり、自分の自由を突き通しすぎると、他人の自由や人権とぶつかってしまうんだ。ミライくんの自由のバリアと、隣の人の健康のバリアが、ガチンコで衝突してしまうわけだね。
ミライくん
あ、そっか。僕だけじゃなくて周りのみんなも人権を持っているから、自分勝手に暴れていいわけじゃないんですね。
佐藤先生
大正解。僕たちの人権は、他人の人権を傷つけない範囲のなかだけで許されるんだ。この、みんなの人権がうまくバランスを取って、全員が心地よく暮らすためのブレーキのことを、社会の言葉で公共の福祉というんだよ。
ミライくん
公共の福祉。また難しい言葉が出てきましたね。
佐藤先生
簡単に言えば、みんなの迷惑にならないようにするルール、ってことだね。車を自由に運転していいけれど、信号は守らなきゃいけない。これは、みんなの命を守るための公共の福祉というブレーキだ。人権はスーパーパワーだけど、自分勝手に使って他人を傷つけてはいけない。お互いに譲り合いましょうね、という思いやりのルールがセットになっているんだよ。
ミライくん
なるほど。公共の福祉は、みんなが仲良く生きるための、思いやりのブレーキなんですね。それなら納得です。
佐藤先生
よく理解できたね。ミライくんは本当に物分かりが良い。基本的人権っていうのは、僕たちが生まれながらに持っている宝物のようなものだけど、それを守るためには、周りの人の宝物も同じように大切にしなければいけないんだ。自分が大切にされたいなら、友達も同じように大切にする。これが、人権を理解する上で一番大切な心構えなんだよ。
ミライくん
自分の人権だけじゃなくて、みんなの人権も大切にする。今日から意識してみます。人権って、最初は怖い言葉に見えたけど、お互いを大切にし合うための、すごく優しいルールなんですね。
佐藤先生
その通り。素晴らしい気づきだね、ミライくん。
基本的人権とは、すべての人間が生まれたときから持っている、人間らしく幸せに生きるための特別な権利のことです。
この人権には、主に三つの大きな柱があります。
一つ目は、国から縛られず、自分の生きたいように生きることができる自由権です。これには、好きな場所に住んで移動できる自由、自分の将来の仕事を自由に選べる自由、自分の心の中で思ったことや意見を自由に発表できる自由などが含まれます。
二つ目は、性別や生まれなどによって理不尽に差別されず、みんなが同じように扱われる平等権です。
三つ目は、完全に自由にしてほったらかしにするのではなく、病気や貧しさで困ったときに国に助けてもらうことができる社会権です。これには、健康で文化的な最低限度の生活を国が保証する生存権や、すべての子どもが平等に勉強できる教育を受ける権利が含まれます。
ただし、この基本的人権は自分勝手に使っていいわけではありません。みんなが持っている権利だからこそ、お互いに他人の人権を傷つけないように譲り合う必要があります。この、みんなが幸せに暮らすための思いやりのブレーキのことを公共の福祉と呼びます。
基本的人権とは、誰もが安心して自分らしく生きるために、お互いを大切にし合うための社会の優しい基本ルールなのです。